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 聖護院やぎ歯科・矯正歯科

オールオン4のメンテナンス|毎日のお手入れと半年ごとの通院の目安

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オールオン4は入れて終わりじゃない|毎日のお手入れと半年ごとのメンテナンス|聖護院やぎ歯科・矯正歯科

オールオン4で固定式の人工歯が入ると、取り外して洗う手間がなくなり、噛む力も安定します。ただ、治療のご説明のときに私たちが必ずお伝えしていることがあります。オールオン4は入れて終わりの治療ではありません

インプラントはむし歯になりません。その代わり、支えている骨と歯ぐきに炎症が起きると、土台のほうから失われていきます。しかもその炎症は、痛みという形ではなかなか出てきません。「調子がいいから大丈夫」と通院が空いてしまった方が、数年後にぐらつきで来院される——これはインプラント治療でもっとも避けたい経過です。

この記事では、オールオン4を長く使っていただくために、毎日のお手入れで実際に何をどう磨くのか、半年に一度の定期メンテナンスで私たちが何を診ているのか、費用と保証の条件、そして「すぐ受診してほしいサイン」までを、京都・聖護院でオールオン4を担当している立場からまとめます。

この記事のポイント

  • オールオン4が長持ちするかどうかは、治療後の清掃と定期メンテナンスで大きく変わります
  • 磨く場所は人工歯そのものより、人工歯と歯ぐきの境目、そして人工歯の裏側
  • 当院の定期メンテナンスは半年に一度(年2回)。保険診療の範囲で行います
  • 最大のリスクはインプラント周囲炎。自覚症状が乏しく、痛みが出たときには進んでいることがあります
  • 保証は10年以内が100%、11年目以降は30%の部分保証(合わせて20年ロング保証)。半年に一度の受診が条件です

結論:長く使えるかどうかは、治療後の過ごし方で決まります

オールオン4は、最小4本のインプラントで片顎全体の人工歯を支える固定式の治療です。総入れ歯のように取り外して洗う必要がなく、噛む力もしっかり出せることが利点です。

一方で、構造上おさえておいていただきたい点があります。人工歯は歯ぐきの上に載っているのではなく、歯ぐきとのあいだにわずかな隙間を持たせた状態で、インプラントの上に固定されています。この隙間は、清掃器具を通すために意図的に作られたものです。裏を返せば、ここに汚れが溜まりやすい構造だということでもあります。

天然の歯であれば、汚れが溜まればまず「しみる」「痛む」といった形でサインが出ます。ところがインプラントには、歯と骨のあいだでクッションとセンサーの役割を果たす歯根膜がありません。そのため炎症が起きても気づきにくく、違和感が出た時点で骨の吸収がかなり進んでいることがあります。

オールオン4の構造。最小4本のインプラントで片顎の人工歯を支える

オールオン4そのものの仕組みや費用、治療の流れについては、オールオン4とは|費用・期間・治療の流れと総入れ歯との違いで詳しくご説明しています。この記事は、その「治療が終わったあと」のお話です。

インプラント周囲炎とは|歯周病に似ていますが、進み方が違います

インプラントを支えている組織に細菌性の炎症が起きた状態を、インプラント周囲炎といいます。歯ぐきの表層にとどまる段階(インプラント周囲粘膜炎)であれば、清掃とクリーニングで改善が見込めます。しかし炎症が骨にまで及ぶと、支えている骨が溶けはじめ、進行するとインプラントの動揺や脱落につながります。

歯周病との大きな違いは二つあります。ひとつは、先ほどお伝えしたとおり自覚症状が乏しいこと。もうひとつは、いったん骨の吸収が始まると進行が速い傾向があることです。日本口腔インプラント学会も、インプラントを長期に維持するうえで治療後の定期的な管理が欠かせないとしています。

定期メンテナンスで診ているのは、見た目ではありません

歯ぐきの色や腫れは、あくまで表面のサインです。実際に骨がどれだけ保たれているかは、レントゲンで骨の高さを確認し、歯ぐきの溝の深さを測って、はじめて分かります。ご自身の目と鏡では追えない部分を追うのが、定期メンテナンスの本来の役割です。

毎日のお手入れ|磨く場所は「人工歯と歯ぐきの境目」

オールオン4のセルフケアで最も大切なのは、力を入れて人工歯の表面を磨くことではありません。汚れが停滞するのは、人工歯と歯ぐきが接する境目と、人工歯の裏側(舌側)です。ここを、細い器具で毎日通してあげることが基本になります。

使う道具磨く場所頻度の目安
やわらかめの歯ブラシ人工歯の表面と、歯ぐきとの境目に毛先を45度で当てる毎食後
歯間ブラシ人工歯と歯ぐきのあいだの隙間を、横から通す1日1回以上
スーパーフロス(太い部分のあるフロス)人工歯の下を端から端まで通し、汚れをかき出す1日1回(就寝前が理想)
タフトブラシ(毛束が小さい歯ブラシ)奥のインプラント周囲や、器具が届きにくい角1日1回
洗口液補助として。清掃の代わりにはなりません必要に応じて

器具のサイズが合っていないと、通したつもりで汚れが残ります。歯間ブラシの太さやフロスの種類は、お口の形に合わせて衛生士がお選びしますので、メンテナンスの際に遠慮なくご相談ください。実際、清掃状態が良好な方は、道具が合っていることがほとんどです。

日々のセルフケアのイメージ

セルフケアで気をつけていただきたいこと

  • 強い力で磨いても汚れは落ちません。歯ぐきを傷つけ、かえって炎症の入口を作ることがあります
  • 喫煙は血流を悪くし、インプラント周囲炎のリスクを高めます。治療後も本数を減らす、可能であればやめることをお勧めしています
  • 硬いものを前歯側だけで無理に噛み切ると、人工歯の破損や欠けにつながることがあります
  • 就寝中の食いしばりや歯ぎしりがある方は、ナイトガードなどの対応をご提案する場合があります

定期メンテナンスで行うこと|半年に一度・年2回の通院

当院では、オールオン4の治療後は半年に一度の定期メンテナンスをお願いしています。年に2回のご来院です。「調子がよいのに、そんなに通う必要があるのか」と聞かれることがありますが、調子がよい時期にこそ確認しておきたい項目が並んでいます。

確認する項目内容目的
粘膜とインプラント周囲の状態腫れ・発赤・出血の有無を確認炎症を初期のうちに見つける
歯ぐきの溝の深さ専用の器具で深さを測定し、前回と比較するインプラント周囲炎の進行の把握
レントゲンによる骨の確認骨の高さを画像で確認(年1回程度)目に見えない骨の吸収を早期に把握
ネジ・上部構造の点検緩みやガタつきがないかを点検。必要に応じて人工歯を外して清掃破損や脱落の予防
噛み合わせの確認と調整特定の部位に力が集中していないかを確認インプラントへの過剰な負担を防ぐ
専門的なクリーニング器具で、ご自身では届かない部位の汚れを除去細菌の量を減らし、炎症を抑える

とくに見落とされがちなのが、噛み合わせです。人工歯は少しずつすり減り、残っている歯や反対側の顎の状態も年月とともに変化します。その結果、一部のインプラントにだけ強い力がかかるようになることがあります。骨の吸収や部品の破損は、清掃不良だけでなく、この力の偏りからも起こります。

費用は、定期メンテナンスとして行う診査とクリーニングは保険診療の範囲で対応しており、3割負担の方で1回あたり数千円程度です(お口の状態や検査内容によって変わります)。

診査結果と今後のメンテナンスについてご説明する場面

こんなサインがあれば、次の予約を待たずにご相談ください

次のような変化は、初期であれば清掃・調整で対応できることが多い一方、放置すると外科的な処置が必要になる場合があります。痛みが出てからでは遅いとお考えください。

  • 歯ぐきから血が出る、指で押すと違和感がある、腫れが引かない
  • 人工歯が動く感じがする、噛むとカチカチと音がする
  • 噛み合わせが変わった気がする、片側だけ強く当たる
  • 以前より口臭が気になるようになった
  • 人工歯が欠けた、一部が擦り減ってきた

「このくらいで受診してよいものか」と迷われる方が多いのですが、確認して問題がなければそれで安心していただけます。早めのご連絡がいちばん確実です。

費用・期間・リスクについて(自由診療)

オールオン4に関する費用・期間・通院回数・リスク

  • 自由診療である旨:オールオン4は公的医療保険が適用されない自由診療です(治療後の定期メンテナンスは保険診療の範囲で行います)
  • 治療内容:最小4本のインプラントを顎の骨に埋入し、その上に片顎全体の固定式の人工歯を装着します
  • 標準的な費用:当院では片顎あたり300万円〜500万円(税込)です。使用する人工歯の素材、本数、骨の状態によって異なります。お支払い方法(分割等)を含め、診査のうえで具体的にご説明します
  • 治療期間・通院回数の目安:精密検査・診断から最終的な人工歯の装着まで、おおむね3〜6か月、通院は6〜8回程度です(骨の状態により変わります)
  • 治療後の通院:半年に一度(年2回)の定期メンテナンス。保険診療の範囲で行い、3割負担の方で1回あたり数千円程度です
  • 保証:10年以内は100%保証(再手術・代替治療の費用はいただきません)、11年目以降は30%の部分保証となり、合わせて20年ロング保証です。半年に一度のメンテナンスの受診が条件です
  • 主なリスク・副作用:手術後の痛み・腫れ・内出血、細菌感染、インプラントが骨と結合しない場合があること、噛み合わせの不調、インプラント周囲炎による動揺や脱落、人工歯の破損や摩耗、糖尿病などの全身疾患や喫煙が治癒に影響することがあります。骨や全身の状態によっては適応外となるケースもあります

費用の内訳や医療費控除については、インプラントの費用|1本の相場・内訳・追加費用・医療費控除もあわせてご覧ください。

よくある質問

Q. メンテナンスに通わないと、どうなりますか?

A. すぐに問題が起きるわけではありませんが、インプラント周囲炎は自覚症状が乏しいため、気づかないうちに骨の吸収が進むことがあります。動揺が出てからでは、清掃や調整だけでは対応できないことがあります。また、当院の保証(10年以内は100%、11年目以降は30%の部分保証)は、半年に一度の受診が条件となります。

Q. 人工歯は自分で外して洗えますか?

A. オールオン4の人工歯は固定式で、ご自身では取り外せません。ネジで固定されているため、必要に応じて医院で外して内部を清掃し、再度装着します。取り外しの必要があるかどうかは、状態を診てご説明します。

Q. メンテナンスに保険は使えますか?

A. 治療後の定期的な診査とクリーニングは、保険診療の範囲で対応しています。3割負担の方で1回あたり数千円程度です。ただし、人工歯の作り直しや自由診療にあたる処置が必要になった場合は別途費用がかかります。

Q. 遠方に住んでいて、半年に一度の通院が難しいのですが。

A. まずはご相談ください。ご事情によっては間隔を調整し、そのぶん日々の清掃方法をより丁寧にお伝えするなど、現実的に続けられる形を一緒に考えます。通えないから治療をあきらめる、という判断の前にお話をお聞かせください。

Q. オールオン4は何年くらいもちますか?

A. 一律に「何年」と申し上げることはできません。日々の清掃状態、定期メンテナンスの受診、喫煙の有無、糖尿病などの全身状態、噛み合わせの力によって大きく変わります。長く使っていらっしゃる方に共通しているのは、定期受診を続けておられることです。

Q. 電動歯ブラシを使ってもよいですか?

A. お使いいただけます。ただし、当てるだけで汚れが落ちるわけではなく、人工歯と歯ぐきの境目に毛先を届かせる必要があります。歯間ブラシやフロスによる清掃も併せて行ってください。使い方はメンテナンスの際にお伝えします。

Q. 他院で入れたオールオン4のメンテナンスもお願いできますか?

A. まずはご相談ください。使用されているインプラントの種類や部品によって対応できる範囲が変わりますので、治療を受けた医院の資料(インプラントのメーカー名や治療内容が分かるもの)をお持ちいただけると、より正確にご説明できます。

まとめ

オールオン4は、噛む機能と見た目を取り戻す力のある治療です。ただし、その状態を10年、20年と保てるかどうかは、手術の成否だけで決まるものではありません。

  • 磨くのは人工歯の表面ではなく、人工歯と歯ぐきの境目と裏側
  • 歯間ブラシやスーパーフロスを、毎日1回は通す
  • 半年に一度(年2回)の定期メンテナンスで、骨の状態・ネジ・噛み合わせを確認する
  • 出血、動揺、噛み合わせの変化があれば、次の予約を待たずに受診する

私たちが治療前のご相談で費用や手術の話と同じくらい時間をかけてお伝えするのが、この「治療後」の話です。通い続けられるかどうかも含めて、オールオン4がご自身に合う選択なのかを一緒に考えたいと思っています。すでに他院で治療を受けられた方のご相談も承っています。

《出典》公益社団法人 日本口腔インプラント学会 https://www.shika-implant.org/

八木 龍

監修:八木 龍

聖護院やぎ歯科・矯正歯科 院長

OSSTEM IMPLANT 公認ディレクター / 国際口腔インプラント学会 所属 / 抜歯即時埋入・審美領域のインプラントに対応 / 全国の歯科医師向けにインプラント講師

広島大学歯学部を卒業後、大阪市の歯科医院インプラントセンターで副院長を務め、2020年に聖護院やぎ歯科・矯正歯科を開院。抜歯即時埋入や審美領域の難症例を含むインプラント治療に取り組み、診査・診断にもとづいて、身体的・経済的なご負担に配慮した治療計画を大切にしています。

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