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インプラントの費用をご説明すると、多くの方から「医療費控除は使えますか」「実際にはいくら戻ってくるのですか」というご質問をいただきます。1本でも数十万円、オールオン4であれば数百万円になる治療ですから、税金の面でどのくらい負担が軽くなるのかは、治療を決めるうえで大切な情報です。
結論から申し上げると、失った歯を補うためのインプラント治療は、医療費控除の対象になります。ただ、戻ってくる金額は所得によって変わり、支払い方や支払う時期によっても差が出ます。
この記事では、当院の費用1本44万円(税込)を例にした計算、オールオン4のように高額になる場合の上限、対象になるもの・ならないもの、デンタルローンの扱い、申告の手順までを順にご説明します。なお税務上の最終的な判断は税務署が行いますので、迷われる点は管轄の税務署にもご確認ください。
患者様この記事のポイント
- 失った歯を補うインプラント治療は、医療費控除の対象になります
- 1本44万円を支払った場合、戻る金額の目安は約5万〜11万円(所得税の還付+翌年度の住民税の軽減)
- 控除額の上限は200万円。オールオン4のように高額な治療では、上限に達することがあります
- 治療後の定期メンテナンス(保険診療)の自己負担分や、通院の公共交通機関の運賃も合算できます
- 申告し忘れていても、5年前までさかのぼって還付を受けられます
結論:失った歯を補うインプラントは対象になります
医療費控除は、その年に支払った医療費が一定額を超えたときに、所得から差し引ける制度です。国税庁は、歯の治療に使う材料について、金やポーセレン(セラミック)のように保険がきかない高価なものであっても、一般的に支出される水準を著しく超えない限り、医療費控除の対象になるとしています。
インプラントは、失った歯の代わりに噛む機能を取り戻すための治療です。見た目を整えることだけが目的の治療ではないため、人工歯根の手術、人工歯(上部構造)、治療に必要な検査を含めて、治療費は医療費控除の対象になります。
当院の費用は、奥歯などのインプラント1本で44万円(税込)です。前歯など見た目に関わる部位では、治療中の仮歯の費用が加わるため50万円台(税込)になります。いずれも、噛む機能を回復するための治療費として扱われます。

いくら戻るのか|1本44万円の計算例
医療費控除は「支払った金額がそのまま戻る」制度ではなく、税金がかかる所得を減らす制度です。計算は次の式で行います。
控除額 = 1年間に支払った医療費 - 保険金などで補填される金額 - 10万円
10万円のところは、その年の総所得金額等が200万円未満の方の場合、総所得金額等の5%になります。
この控除額に所得税の税率をかけた金額が、所得税から還付されます。さらに翌年度の住民税も、控除額のおおむね10%分が軽くなります。インプラント1本44万円をその年に支払い、ほかに医療費がなかった場合の目安は次のとおりです。
| 課税される所得金額 | 所得税率 | 戻る金額の目安 |
|---|---|---|
| 195万円以下 | 5% | 約5万1,000円 |
| 195万〜330万円 | 10% | 約6万8,000円 |
| 330万〜695万円 | 20% | 約10万2,000円 |
| 695万〜900万円 | 23% | 約11万2,000円 |
いずれも「44万円 - 10万円 = 34万円」を控除額として計算した概算です。内訳は、所得税の還付が「34万円 × 所得税率」、翌年度の住民税の軽減がおおむね3万4,000円(34万円の約10%)で、表はこの2つを合わせた目安です。復興特別所得税は含めていません。実際の金額は、ほかの控除や医療費の有無によって変わります。
同じ年に2本の治療(88万円)を行った場合は、控除額が78万円になり、所得税率20%の方で戻る目安は約23万4,000円です。生計を一にするご家族の医療費も合算できるため、ご家族の通院分も合わせて計算してみてください。
支払いが年をまたぐと、戻る金額が減ることがあります
医療費控除は1月1日〜12月31日の1年ごとに計算し、毎年10万円を差し引きます。たとえば44万円を、22万円ずつ2年に分けて支払った場合、所得税率20%の方の目安は2年合計で約7万2,000円となり、1年にまとめて支払った場合(約10万2,000円)より少なくなります。治療の時期と支払いの時期が年末年始にかかる場合は、契約の前に確認しておくと計画が立てやすくなります。
オールオン4など高額な治療の場合|上限は200万円
医療費控除には、控除額200万円という上限があります。1本や2本の治療では上限に届くことはありませんが、多くの歯を補う治療では注意が必要です。
当院のオールオン4は、片顎300万円〜400万円(税込)です。片顎300万円を1年で支払った場合、計算上の控除額は290万円になりますが、上限により200万円で頭打ちになります。
| 治療の例 | 支払額 | 控除額 | 戻る目安(税率20%) |
|---|---|---|---|
| インプラント1本 | 44万円 | 34万円 | 約10万2,000円 |
| インプラント2本 | 88万円 | 78万円 | 約23万4,000円 |
| オールオン4片顎 | 300万円 | 200万円(上限) | 約60万円 |
上限があるため、オールオン4を上下の顎で行う場合などは、治療の時期が2年にまたがるほうが、合計の控除額が大きくなることがあります。ただし、治療の順番や時期はお口の状態を優先して決めるものです。税金の都合だけで治療計画を変えることはお勧めしませんので、気になる方は計画のご説明の際にお尋ねください。オールオン4そのものについてはオールオン4とは|費用・期間・治療の流れと総入れ歯との違いで詳しくご説明しています。
対象になるもの・ならないもの
インプラントの治療費そのもの以外にも、合算できる費用があります。取りこぼしやすいのが、治療後のメンテナンスと通院の交通費です。
| 対象になるもの | 対象にならないもの |
|---|---|
| インプラントの手術・人工歯・検査の費用 | 見た目を整えることだけが目的の治療 |
| 治療で処方された薬の費用 | 歯ブラシや歯間ブラシなどのケア用品 |
| 定期メンテナンスの自己負担分 | 自家用車のガソリン代・駐車場代 |
| 通院の公共交通機関の運賃 | デンタルローンの金利・手数料 |
当院では、インプラントの治療後は半年に一度(年2回)の定期メンテナンスをお願いしています。メンテナンスは保険診療の範囲で行い、3割負担の方で1回あたり数千円程度です。この自己負担分も、その年の医療費として合算できます。
通院の交通費は、電車やバスなど公共交通機関の運賃が対象です。領収書が出ないことが多いため、通院日・区間・金額をメモしておくと申告のときに困りません。

デンタルローンやクレジットカードで支払った場合
当院では、お支払いにデンタルローン(提携)、クレジットカード、現金・振込をご利用いただけます。デンタルローンとクレジットカードは、現金でお支払いいただいた場合と扱いが少し違います。
- デンタルローン:信販会社が医院に立て替え払いをした年に、その全額がその年の医療費控除の対象になります。ご自身の返済が翌年以降に続いても、控除は立替払いの年にまとめて受けます
- 金利・手数料:ローンの金利や手数料は治療費ではないため、対象になりません。契約書で治療費の部分と分けて確認してください
- クレジットカード:カードで決済した年が対象です。分割払いにした場合も、引き落としの年ではなく決済した年で判断します
デンタルローンの場合は、ローン契約書の写しなどが支払いを証明する書類になります。申告まで大切に保管してください。
申告の手順|5年前まで、さかのぼれます
医療費控除は年末調整では処理できないため、ご自身で確定申告を行います。手順は次のとおりです。
- 1年分(1月1日〜12月31日)の領収書・ローン契約書・交通費のメモを集める
- 「医療費控除の明細書」に、医療を受けた方・支払先・金額を記入する
- 確定申告書に控除額を記入する(国税庁のサイトやe-Taxで作成できます)
- 翌年の申告期間(通常は2月16日〜3月15日)に提出する
- 領収書は提出せず、5年間ご自身で保管する
ここで注意していただきたいのが、健康保険組合から届く医療費通知や、マイナポータルで取得できる医療費の情報には、保険診療の分しか載らないことです。インプラントのような自由診療の費用は含まれないため、領収書をもとにご自身で明細書に記入する必要があります。
会社員の方で、給与以外に申告するものがない場合は、還付申告として5年前までさかのぼって手続きできます。過去に治療を受けて申告していなかった方も、間に合う可能性があります。

当院の費用と、控除を見込んだ実質のご負担
所得税率20%の方がインプラント1本44万円をその年に支払った場合、戻る目安は約10万2,000円で、実質のご負担はおおよそ34万円という計算になります。
当院では、カウンセリングとCT撮影までを無料で行っています。骨の状態を確認したうえで、治療の内容と総額、お支払いの時期をご説明しますので、医療費控除を見込んだ資金計画もその場でご相談ください。
院長はOSSTEM IMPLANTの公認ディレクターとして年間400本のインプラント埋入を担当し、全国の歯科医師向けにインプラントの講師も務めています。費用の面で迷っている段階でのご相談も歓迎しています。
インプラントは自由診療です。費用・期間・通院回数・リスクは次のとおりです。
インプラント・オールオン4に関する費用・期間・通院回数・リスク
- 自由診療である旨:インプラントとオールオン4は公的医療保険が適用されない自由診療です
- 治療内容:失った歯の部分の骨に人工歯根を埋入し、骨との結合を待って人工歯を装着します。オールオン4は、最小4本のインプラントで片顎すべての歯を支える固定式の人工歯を装着する治療です。使用するインプラントはOSSTEM IMPLANTです
- 標準的な費用:インプラント1本44万円(税込)。前歯など見た目に関わる部位は、治療中の仮歯の費用が加わるため50万円台(税込)です。オールオン4は片顎300万円〜400万円(税込)です。カウンセリングとCT撮影は無料です
- 治療期間・通院回数の目安:インプラントは診査・診断から人工歯の装着まで、おおむね数か月〜半年、通院5〜7回程度です。オールオン4は全体でおおむね3〜6か月、通院6〜8回程度です。骨の状態により変わります
- 治療後の通院:半年に一度(年2回)の定期メンテナンス。保険診療の範囲で、3割負担の方で1回あたり数千円程度です
- 保証:10年以内は100%保証(再手術・代替治療の費用はいただきません)、11年目以降は30%の部分保証となり、合わせて20年ロング保証です。半年に一度のメンテナンスの受診が条件です
- 主なリスク・副作用:手術後の痛み・腫れ・内出血、細菌感染、インプラントが骨と結合しない場合があること、部位によって神経に近い場合のしびれや上顎洞に関わる合併症、噛み合わせの不調、インプラント周囲炎による動揺や脱落、人工歯の破損。糖尿病などの全身疾患や喫煙は治癒に影響することがあります。骨や全身の状態によっては適応外となるケースもあります
よくある質問
Q. 前歯のインプラントは見た目のための治療なので、対象外ですか?
A. 前歯であっても、失った歯を補い、噛む・話すといった機能を回復するための治療であれば対象になります。最終的な判断は税務署が行いますが、見た目を整えることだけが目的の治療とは区別されます。
Q. 治療が年をまたぎました。どの年に申告すればいいですか?
A. 医療費控除は、治療を受けた年ではなく実際に支払った年で計算します。支払いが2年に分かれた場合は、それぞれの年で別々に申告します。
Q. 家族の医療費と合算できますか?
A. 生計を一にするご家族の分は合算できます。世帯の中で所得税率の高い方がまとめて申告すると、戻る金額は大きくなります。
Q. 無料のカウンセリングやCT撮影は申告に関係しますか?
A. 当院ではカウンセリングとCT撮影の費用をいただいていないため、医療費として計上するものはありません。治療を始めてからお支払いいただいた費用が対象になります。
Q. 領収書をなくしてしまいました。どうすればいいですか?
A. 医療費控除の明細書には、領収書をもとに支払先と金額を記入します。紛失された場合は、まず当院にご相談ください。再発行の可否も含めてご案内します。
Q. 会社員でも自分で申告が必要ですか?
A. 医療費控除は年末調整では処理できないため、ご自身で確定申告が必要です。e-Taxを使えばオンラインで完結します。給与以外に申告するものがなければ、還付申告として5年以内に手続きできます。
まとめ
- 失った歯を補うインプラント治療は、医療費控除の対象になります
- 1本44万円の場合、戻る金額の目安は約5万〜11万円。所得税率20%の方で約10万2,000円です
- 控除額の上限は200万円。オールオン4のような高額な治療では、上限に達することがあります
- 定期メンテナンスの自己負担分と、公共交通機関の運賃も合算できます。自由診療の費用は医療費通知に載らないため、領収書から記入します
- 申告し忘れていても、5年前までさかのぼれます
費用は、インプラントを考えるうえで避けて通れない要素です。当院では、総額とお支払いの時期、控除の考え方まで含めてご説明し、ご納得いただいてから治療を進めています。金額の面で迷っていらっしゃる方も、まずは無料のカウンセリングでご相談ください。
《出典》国税庁 タックスアンサー No.1128「医療費控除の対象となる歯の治療費」 《出典》国税庁 タックスアンサー No.1120「医療費を支払ったとき(医療費控除)」 《出典》公益社団法人 日本口腔インプラント学会

監修:八木 龍
聖護院やぎ歯科・矯正歯科 院長
OSSTEM IMPLANT 公認ディレクター / 国際口腔インプラント学会 所属 / 抜歯即時埋入・審美領域のインプラントに対応 / 全国の歯科医師向けにインプラント講師
広島大学歯学部を卒業後、大阪市の歯科医院インプラントセンターで副院長を務め、2020年に聖護院やぎ歯科・矯正歯科を開院。抜歯即時埋入や審美領域の難症例を含むインプラント治療に取り組み、診査・診断にもとづいて、身体的・経済的なご負担に配慮した治療計画を大切にしています。




